MPEGの魔法

MPEGの魔法
著者
ゆずねり
イラスト
参号
デザイン
しらうた
発売日
判型
A5
ページ数
72ページ

基本情報

フルHD映像を非圧縮で保存すると、1秒間で約190MB、1時間では約680GBものデータ量になります。

ところが現代では、スマートフォンからSNSへの動画アップロードは数秒で完了し、Netflixでの映画ストリーミングは途切れることなく再生され、ビデオ会議で世界中の人々と顔を合わせて会話できます。 この当たり前の光景の裏には、映像データを劇的に小さくする「魔法」のような技術「MPEG」があります。

1980年代後半、約650MBのCDに映画を収録するという夢物語から始まったMPEGの圧縮技術の仕組みと、誕生から現代までの物語をたどります。

目次

  • 第1章 映像圧縮の歴史
    • 映画のはじまり
      • 35mmフィルムと映写機の誕生
      • サイレント映画からトーキー映画へ
      • 白黒映画からカラー映画へ
      • ワイドスクリーンの登場
      • サラウンド音響の発展
    • テレビのはじまり
      • 世界のアナログ放送規格
      • ビデオ録画技術の誕生
      • 家庭用ビデオ規格戦争
    • MPEGのはじまり
      • テレビ会議から始まった映像圧縮
      • CD規格がもたらしたMPEGの誕生
      • MPEG-1の登場
      • MP3が開いた音楽配信
    • デジタル放送と高画質メディア
      • MPEG-2の登場
      • DVDの登場
      • デジタル放送への移行
      • HDTVの普及
    • インターネット映像時代の幕開け
      • Flash VideoとWeb映像配信
      • MPEG-4の登場
      • H.264/AVCの登場
      • 次世代光ディスクの規格競争
      • コーデック戦争の終焉
    • 4K時代と次世代コーデック
      • H.265/HEVCの登場と特許問題
      • オープンコーデックの台頭
    • 映像技術の進化と継承
  • 第2章 映像と音声のデジタル表現
    • 映像を構成する三つの次元
      • 空間次元
      • 時間次元
    • アナログ信号の仕組み
      • 走査線
      • インターレース方式
      • プログレッシブ方式
    • デジタル信号の仕組み
      • 標本化
      • 量子化
    • データ量とビットレート
      • 非圧縮映像のビットレート
      • 非圧縮音声のビットレート
      • ビットレート制御
  • 第3章 映像圧縮の原理
    • 映像が持つ冗長性
      • 空間的冗長性
      • 時間的冗長性
      • 統計的冗長性
    • 空間的冗長性の削減方針
    • 色空間の変換
    • クロマサブサンプリング
    • 離散コサイン変換
    • 量子化
      • 量子化テーブル
      • 空間的マスキング効果
    • ランレングス符号化
    • 可変長符号化
    • 時間的冗長性の削減方針
    • フレーム間予測技術
      • Iフレーム
      • Pフレーム
      • Bフレーム
      • GOP
    • 動き補償
      • エンコーダー側の例
      • デコーダー側の例
      • マクロブロック
      • 動きベクトルの算出
      • 残差の計算と符号化
    • コンテナとコーデック
      • コンテナフォーマット
      • コーデック
      • コンテナとコーデックの関係
  • 第4章 MPEG-1
    • 開発の背景
    • MPEG-1 Part 1(Systems)
      • Program Stream
      • タイムスタンプによる同期
    • MPEG-1 Part 2(Video)
      • 解像度とフレームレート
      • マクロブロックとブロック構造
      • 動き補償の仕様
    • MPEG-1 Part 3(Audio)
      • Layer I
      • Layer II
      • Layer III
    • MPEG-1の限界
      • 解像度の制約
      • インターレース映像の非対応
      • ビットレート制御の制約
    • MPEG-1の功績
  • 第5章 MPEG-2
    • 開発の背景
    • MPEG-2 Part 1(Systems)
    • MPEG-2 Part 2(Video)
      • インターレース映像対応
      • フレームDCTとフィールドDCT
      • 動き補償の拡張
      • デュアルプライム予測
      • 量子化マトリクスと適応量子化
      • プロファイルとレベル
    • MPEG-2 Part 3(Audio)
    • MPEG-2 Part 7(Advanced Audio Coding)
    • 幻のMPEG-3
    • MPEG-2の限界
      • イントラ符号化の制約
      • 動き補償精度の制約
      • エントロピー符号化の制約
      • HD解像度での効率低下
      • インターネット配信への制約
    • MPEG-2の功績
  • 第6章 MPEG-4
    • 開発の背景
    • MPEG-4 Part 2(Visual)
      • 動き補償の高度化
      • Global Motion Compensation
      • 符号化ツールの改良
      • MPEG-4 Visualの実装例
      • 技術的成果と課題
    • MPEG-4 Part 3(Audio)
    • MPEG-4 Part 14(MP4 file format)
    • MPEG-4 Part 10(Advanced Video Coding)
      • 予測技術の高度化
      • デブロッキングフィルター
      • CABAC/CAVLCエントロピー符号化
      • プロファイルとレベル
    • H.264/AVCの限界
      • 並列処理の制約
      • マクロブロックサイズの制約
      • エントロピー符号化の制約
    • MPEG-4の功績
  • 第7章 次世代映像圧縮技術
    • 4K時代の標準コーデックH.265/HEVC
      • H.265/HEVCの技術的革新
      • H.265/HEVCの課題
    • ロイヤリティフリーに挑戦するAV1
      • AV1の技術的革新
      • AV1の課題
    • 究極の圧縮効率を追求するH.266/VVC
      • H.266/VVCの技術的革新
      • H.266/VVCの課題
    • 映像圧縮技術の未来